*この記事はネタバレを含みます。
優樹です。
先日、劇場版『黒執事 Book of the Atlantic』を見てきました!
昔と違って、今はあまりアニメを見ないのですが、黒執事は別です。なぜなら、原作が好きだから。
単行本で読んでいるのですが、原作では『Book of the Atlantic』は『豪華客船編』と呼ばれていますね。
『豪華客船編』を漫画で読んだときから、これをアニメ化するならTVじゃなく映画にしてほしいなぁ、と思っていたので、映画化を知ったときはうれしくて。
というわけで、久しぶりに映画館に行きました。
感想(ネタバレあります)
絵がきれい!
やっぱり絵がきれい!
TVアニメを見ても思うのですが、原作の緻密で繊細な絵をアニメにして動かすのは、並大抵のことではないと思います。制作する側の作品への並々ならぬ愛情や思いが感じられて、そのことに感動します。
ファンだけでなく、作り手からも愛されている作品であることがよくわかります。
カラーってやっぱり効果的
漫画の、黒の線だけで描く世界が大好きです。変な言い方ですが、ペンだけで描くからこそ生まれる繊細な感じが好きというか。あの繊細さはアニメでは描きにくいです。
でも、色を使うことで生まれる効果ってありますよね。
特に印象に残ったのが、シエル、リジー、スネークが貨物庫で死体に襲われて、セバスチャンが嬉々として虐殺しまくるシーン。舞い踊る黒に赤い目がなんとも美しくて。あと、グレルの赤とか。
こういうところは、説明不要で一瞬で理解できる「色」は強いですよね。
声優陣の安定感は異常
最初から同じ声優さんが演じていますよね。
セバスチャンの小野大輔さん、シエルの坂本真綾さん、葬儀屋の諏訪部順一さん、グレルの福山 潤さん・・・
もはや、サザエさんのような親近感 ^^;
ファンとしては同じ声優さんに毎回演じてもらいたいけれど、スケジュールや大人の事情でそうはいかないことも。当たり前のように見ているけれど、同じ声優さんがずっと演じてくれていることに感謝です。
そして、どうしても書きたい。
グレル・サトクリフ役の福山 潤さんが、すっごく楽しそうだったな~!!
と書いている途中で、タナカ役の藤村俊二さんの訃報を聞いて驚きました。
ショックだ・・・
いま思えば、『黒執事 Book of Murder』を見たとき、藤村さんの声に力がないような感じがして心配になったのですが、こんなことになるとは・・・
キャラクターと違って演じる役者さんは年をとるわけだし、また一人、味のある俳優さんがいなくなってしまいました。仕方がないことですが、なんともやり切れない気持ちです。
藤村さんのご冥福をお祈り申し上げます。
スピード感
当たり前ですが、アニメは動きます。特に『豪華客船編』は戦闘シーンや船の沈没シーンなど、迫力ある見せ場がいっぱいで、アニメの強みをこれでもかと見せてくれます。
『Book of the Atlantic』はリジーの戦闘シーンも楽しみの一つだったのですが、期待を裏切らないかっこよさでした。これまでの可愛い(だけの)女の子のイメージを脱ぎ捨て、リジーの葛藤や強さが初めてあらわになる重要な場面。静から動への転換がピッタリはまって、見ていて爽快でした。
まだ『Book of the Atlantic』を見ていない方は乞うご期待です。
原作との違いは?
原作ファンなら気になりますよね。アニメ化されて、どんな違いがあるのか。
黒執事は何度もアニメ化されていて、特に
- TVアニメ第3期『黒執事 Book of Circus』(原作「サーカス編」)
- OVA作品『黒執事 Book of Murder』(原作「幽鬼城殺人事件編」)
は、原作に忠実でシリーズを通して絵がきれいで、それはもう感動モノでした。
今回はさらに映画化ですから、そりゃもうイヤでも期待が高まるってものですよ! 奥さん!!
でも、やっぱり原作との違いはチョコチョコありまして。細かなところは忘れましたが、印象に残ったところを書いていきます。
「Wチャールズ」が乗船している
予備知識なく映画を見に行ったので、あれ、Wチャールズって乗っていたっけ?と(笑)
ウチに帰って単行本で確認。乗っていないよね、うん、いない。
Wチャールズファンにはうれしいですよね。でも、そもそも原作では乗っていない人たちなので、ほとんどストーリーには絡みません。残念。
見たかったシーンがカット
尺の関係で仕方がないところですが、原作で好きだったシーンがカットされていて悲しい・・・
その1
リジーから豪華客船での旅行を誘われたシエル。誘いは断ったものの、リジーとの会話を思い出しながら窓の外を見ていると、セバスチャンのにやけ顔がヌッと!(しかも横から)
見たかったな、このシーン(笑)
その2
晩餐会で、スネークの容姿がお貴族さまの間で笑いものにされていたとき。自分がいるとシエルの評判に関わると気にするスネークに向かって
「他人なんだから違って当然。なにを恥じる必要がある?」と言うシエルに、
「今はファントムハイヴの従僕なのだから、自信を持って、背筋を伸ばしなさい」と言うセバスチャン。
スネークとシエルの関係に少し変化が見られた印象的なシーンですが、カットされていた(泣)
その3
セバスチャンを連れたシエルが、アン叔母さんを訪ねて病院に行くシーンがまるっとカット。
この場面は、物語全体に関わるエピソードが含まれていて、
- タナカからセバスチャンに執事長の時計が手渡される
- タナカの真似をして、セバスチャンがシエルのことを初めて「坊ちゃん」と呼ぶ
- アン叔母さんがシエルに、唯一焼け残った指輪を渡す
という重大なシーンだけに、全カットは意外でした。
いま思うと、藤村さんの体調のこともあったのかなぁという気がします。
エンドロールの後にもうワンシーン
原作では、すべての死体を掃討した後、めずらしくセバスチャンを労ったシエルに対し、セバスチャンが軽口をたたいて終わります。
劇場版『黒執事 Book of the Atlantic』も、そこでエンドロールが流れるのですが、席を立たないでくださいね。エンドロールが終わった後に、もうワンシーンあります。
映画を見てあらためてわかった『枢やな』の力量
漫画ってアニメと違って動かない。戦闘シーンなどのスピード感を表現するには、漫画の方が不利なはず。
なのに、アニメに劣らない、いやアニメ以上のスピード、迫力を静止画で表現できる枢さんはすごい! とつくづく思いました。
枢さんは静と動の切り替えがとても上手い人だと思います。コマとコマの間をうまく使って、読者にそれと気づかせないまま、コマの間に流れた時間を想像して補わせるというか。
うまく説明できませんが、こうしたテクニックを使うことでスピード感が生まれるように思います。
印象に残っているのが『黒執事 Book of Murder』のワンシーン。
(知らない人には全然わかりません。すみません)
温室で、実はもう一人侵入者がいたことをシエルに明かしたセバスチャン。テーブルの下から木箱を出し、箱の蓋を開けると蛇が飛び出してシエルに襲い掛かる、というシーンがありました。
原作では、この
木箱出す→蓋開ける→蛇飛び出る→シエル驚く→セバスチャン蛇を掴む
という流れが実にリズムよく、蛇が飛び出るシーンでまんまと驚かされました(笑)
アニメでは蓋を開けるシーンですでに蛇が見えていて、原作を読んだことがない、初めて見る人でも驚きは少なかったのではないでしょうか。
原作の『黒執事』は海外のアンケートで人気No.1に選ばれたこともあったはず。人気が長く続く理由がわかる気がします。
まとめ
こういう記事は書いていてすごく楽しいのですが、そろそろまとめを。
・絵がきれい
・ずっと声優さんが変わらなくてうれしい
・スピード感がある
・Wチャールズがいる
・好きなシーンがカットされてて悲しい
・エンドロールが終わるまで席を立たないでね
・枢やなさんはやっぱりすごい!
以上です。
見に行こうか迷っている方がいたら、見に行ったほうがいいですよ ^^
それではまた!